===課題図書===
- ギリシア悲劇「ヒケティデス(嘆願する女たち)」(アイスキュロス)&解説|ギリシア悲劇全集2、岡道男訳、岩波書店
*別の翻訳も参照したい方はギリシア悲劇1 アイスキュロス」ちくま文庫もぜひお読みください。 - 「叙事演劇とはなにか」(ベンヤミン)|、久保哲司訳、ちくま学芸文庫
===課題===
「『嘆願する女たち』を上演するとしたら?」
どんな問題意識をもって臨めばいいか? 希望者はコンセプトを考えてみてください。
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●以下の手順に沿って上演する。
場所:オーケトラボックスのある劇場
俳優は二人。一人は男性で、もう一人は女性。
1. 来場した観客に大豆の入った袋を渡す。
2. 俳優の男性が舞台に登場。「ゴールド二十世紀梨」を一切れ持っている。観客の中で梨を食べたい人を挙手させ、希望者に渡し、食べてもらう。
3. 梨の味を聞く。その後、「ゴールド二十世紀梨」が放射線育種という文字通り放射線による人為突然変異によって作られた品種であることを伝える。その後、嘔吐用の袋を渡す。
4. 舞台上で、男性が、観客に来場時に渡した大豆について説明する。ベトナム戦争で活躍した枯葉剤を開発したモンサント社が開発した強力な除草剤「ラウンドアップ」でも枯れない品種「ラウンドアップレディ」がその大豆であることを告げる。バクテリアを使用した遺伝子組み換え、GMOなので安心なので、食べたい人は食べてくださいと伝える。男性退場。
5. ジェニファー・ダウドナ役として女性が登場。遺伝子治療の新技術であるクリスパーが、自分ともう一人の女性研究者エマニュエル・シャルパンティエによる発明として、米サイエンス誌に初めて掲載した学術論文を説明する。
6. フェン・ジャーン役の男性が登場。クリスパーの技術を発明したのは自分だと主張し、実際の判決通り勝訴する。二人退場。
7. ベトナム人役として女性が登場。残留枯葉剤の影響で、自分の染色体が50個あるが(通常46)夫との間で妊娠をしたことを観客に告げる。その子供の遺伝子には異常(メンデル性疾患)があり、生殖細胞の時点で遺伝子治療をしたいと考えていることを話す。最新の実験では72%の成功率(実験に使用された受精卵は廃棄)であり、技術的には可能なので、国際サミットでのモラトリアム(基礎研究以外のヒト受精卵のゲノム編集の一時停止)を解除してほしいと観客に訴える。
8. 女性がオーケストラボックスに入り、そこに大量の土砂がなだれ込み、顔だけ出した状態で生き埋めになる。
9. 暗転
10. 明転後、男性も登場し、観客の中で大豆(ラウンドアップレディ)を食べなかった人がいたら、オーケストラボックスの土砂の中に植えるように指示をする。